香道は現代も楽しめる、大切な伝統文化
千年以上の歴史がある、日本独自の伝統文化である「香道」。香の持つ独特な香りを聞いて味わう香席(こうせき)は現在も行われており、和の文化の1つとして国際的にも注目されています。
香席では、お線香の原料ともなる天然香木の一片を、聞香炉を使い、燃やさずに温めて香気をたて、参加者皆さまで香りを聞くという嗜みである「聞香(もんこう)」などが行われます。複数の香木の香りを聞き分けたり、香で文学や季節を楽しむ「組香(くみこう)」なども行われています。
香木の分類や鑑賞の基本となる「六国五味(りっこくごみ)」の六国とは、品質によって香木を分類するもので、伽羅・羅国・真南蛮・真那伽(真南賀)・佐曽羅・寸聞多羅に分かれています。五味とは、味(辛・甘・酸・苦・鹹)によって香りの違いを知るものとなります。同じ産地で同じ種類の香木であっても、天然ゆえ香りに微妙な違いがあるものです。この六国五味を分類できるようになるには、相当の努力と経験が必要と言われています。できる限り聞香の回数を増やし鍛錬することで、「香りの十徳」と言われる香が及ぼす肉体的・精神的な効用を感じることができるようになるかもしれません。
香りを聞き、自分と向き合う時間を作ろう
香道は精神世界の芸術であり、香りを「聞く」とは、香りを「嗅ぐ」こととは異なり、心を香りに寄せながら香りを味わうことを意味しています。香りを聞き、自分と向き合う時間を作ることは、多忙な現代社会を生きる私たちにとっては瞑想(メディテーション)に近く、心を落ち着ける奥深いひと時と言えるでしょう。
香りを聞くことで心を鎮め、自分らしさを見失わずにいることで、仕事でもプライベートでも他人を気遣うことができ、優しい気持ちを持つ余裕が生まれます。